むし歯や歯周病は、自覚症状が出るころにはすでに進行していることも少なくありません。そこで重要なのが、予防歯科で行う歯のメンテナンスです。歯医者で定期的に行われるメンテナンスは、問題を未然に防ぎ、健康な歯を長く保つための取り組みです。しかし「どんなことをするの?」「本当に必要なの?」と感じている方も多いかもしれません。
今回は、予防歯科における歯のメンテナンスについて、必要性や治療内容を解説します。
1. 予防歯科で行うメンテナンスの意味
予防歯科における歯のメンテナンスとは、むし歯や歯周病などを「治すため」ではなく、「予防するため」に行う診療です。ここでは、予防歯科で行う歯のメンテナンスのポイントを解説します。
①予防を目的とした診療
病気を未然に防ぎ、健康な歯を長く保つために行われます。症状がない時期に通うことにこそ、意味があるといえます。
②定期的なチェックの重要性
むし歯や歯周病は、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。定期的にチェックすることで、早めに見つけて対応できる可能性が高まります。
③セルフケアとプロケアの両立
日常の歯磨きだけでは取り切れない汚れを歯医者でクリーニングし、同時に正しい磨き方のアドバイスを受けることで、効果を高めやすくなります。
④身体全体とのつながり
歯周病は糖尿病や心疾患とも関連があるとされており、メンテナンスは全身の健康にも良い影響を与えることが期待されます。
⑤生活習慣の見直しにつながる
歯のメンテナンスを通して、食事や喫煙などの習慣を見直すきっかけとなり、口腔内や日常生活の改善につながることもあります。
定期的な歯のメンテナンスを続けることで、むし歯や歯周病の予防につながり、健康な歯を維持しやすくなります。口腔ケアと生活習慣の両方に気を配ることが大切です。
2. 予防歯科の観点から見るメンテナンスの必要性
歯の健康を長く保つには、毎日のケアだけでなく歯医者での定期的なメンテナンスも欠かせません。ここでは、予防歯科の視点から、歯のメンテナンスが必要とされる理由を解説します。
①むし歯や歯周病は初期に気づきにくい
これらの病気は、痛みが出るころにはかなり進行していることがあります。定期的にチェックすることで、早めに対応できる可能性が高まります。
②治療の繰り返しを防ぐ
一度むし歯や歯周病を治療しても、原因が残っていれば再発することがあります。メンテナンスを続けることで、再治療のリスクを減らしやすくなる場合があります。
③歯を長く保つため
歯は削ったり抜いたりすれば二度と元には戻りません。メンテナンスを続けることで、天然の歯をより長く使い続けることが期待されます。
④全身の健康との関わり
歯周病は糖尿病や心疾患など全身の健康にも関わるとされています。口腔内のケアを続けることで、体全体の健康維持にも良い影響を与えやすくなると考えられます。
これらの理由から、定期的な歯のメンテナンスは単なる習慣ではなく、歯や体全体の健康を守るための大切な取り組みといえるでしょう。
3. 予防歯科で受けられるメンテナンスの主な内容
歯のメンテナンスでは、目的や口腔内の状態に合わせてさまざまな処置が組み合わされることがあります。ここでは、具体的にどのような内容が行われるのかを解説します。
①歯周ポケットの測定
専用の器具を使い、歯と歯ぐきの隙間の深さ(歯周ポケット)を測定します。歯周病の進行度合いを数値で把握でき、軽度の炎症も確認しやすくなります。
②歯石除去(スケーリング)
歯石とは、プラーク(歯垢)が固まって石のようになったものです。歯石は歯磨きでは取り除けず、放置すると歯ぐきの炎症を引き起こすことがあります。専用の器具で丁寧に取り除くことで、歯周病の進行予防につながります。
③バイオフィルムの除去(PMTC)
毎日の歯磨きだけでは落としきれない、歯の表面に定着した細菌の膜(バイオフィルム)を、専用のケアで丁寧に取り除きます。口臭の原因となる細菌の除去にもつながりやすいと考えられています。
④着色汚れの除去
コーヒーや紅茶、タバコなどによる着色汚れは見た目の清潔感に影響することがあります。専用の器具や研磨剤を使い、歯の表面に付着した着色を丁寧に除去します。
⑤歯科医師による口腔内チェック
歯科医師がむし歯や治療した歯の状態、噛み合わせなどを確認します。治療が終わった歯でも、さまざまな理由で二次的なむし歯になることがあるので、定期的にチェックが大切です。
これらの処置を組み合わせることで、むし歯や歯周病のリスクを減らしやすくなります。定期的なメンテナンスは、将来の大きな治療を防ぐための大切な習慣です。